ヴィエリチカとボフニャの王立岩塩坑
地下101mの深さに広がる聖キンガの礼拝堂。シャンデリアや彫像もすべて岩塩

遺産DATA

地域 : ヨーロッパ 保有国 : ポーランド共和国 分類 : 文化遺産 登録年 : 1978年 範囲変更年 : 2008年 範囲拡大年 : 2008,2013年 危機遺産 : 1989年~1998年 登録基準 : (iv) 遺産の面積 : 11.04947㎢ バッファ・ゾーン : 5.80601㎢ 座標 : N49 58 45 E20 3 50

about

13世紀創業の欧州最古の王立塩採掘施設

「ヴィエリチカとボフニャの岩塩坑」は、世界で最初の世界遺産のひとつとして登録された、13世紀から20世紀末まで稼働していた、ヨーロッパで最も古く、最も重要な王立塩採掘施設です。両坑は同一の岩塩層に位置し、これらの坑道は、塩採掘技術の歴史的発展を示す貴重な遺産として評価されています。 ヴィエリチカ岩塩坑は、11~12世紀に本格的な井戸の掘削が始まり、塩水を加熱して塩の採取が行われるようになりました。13世紀には岩塩の塊が発見され、採掘によって直接塩を得ることができるようになりました。塩による収益は王室の財源の3分の1を占め、この収入を基に、ポーランド王カジミエシュ3世はポーランド初の大学(現ヤギェウォ大学)を創設することができたと言われています。

地下礼拝堂や彫刻群が彩る芸術的空間

両坑内には、塩で彫刻された聖像や祭壇、シャンデリアなどが施された地下礼拝堂が点在しています。特に地下101mにある聖キンガの礼拝堂にある彫刻は有名で、すべて岩塩でつくられた芸術品は見る者の目を奪います。​他にも塩の殺菌作用で空気が浄化されていることから、療養所なども設けられています。

アクセス

ヴィエリチカ岩塩坑はクラクフ中央駅から電車で約20分。駅から岩塩坑までは徒歩約5分。

執筆協力者PROFILE

NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター

福島県出身。世界遺産や絶景、離島などを求め、国内に留まらず70カ国以上を旅するほどの旅好き。普段は上場企業の会社員として働きながらトラベルライターや小笠原諸島のアンバサダーなど、世界遺産や旅を軸に多岐にわたり活動を行っている。

Properties

Wieliczka Salt Mine / Kopalnia Soli Wieliczka
ポーランドの古都クラクフの南東15㎞に位置するヴィエリチカ岩塩坑は、13世紀頃から本格的な採掘が始まった岩塩採掘所です。2,000万年前は海だったこの場所は、地殻変動により長い年月をかけて広大な岩塩層へと変化しました。新石器時代は、ここから汲み上げられた塩水から塩が得られており、ヴィエリチカの近くにあるバリチ村から、中央ヨーロッパで最も古い製塩道具が発見されています。その後何世紀もの間、製塩技術は代々受け継がれ、製塩に携わる人々は専門的な職業集団を形成していきました。得られた塩は肉や魚の保存料として、さらに周辺地域に住む人々との交易の決済手段としても使われていました。11~12世紀頃、塩水の湧き出る量が減少したため、井戸を掘って塩水の捜索が開始されました。13世紀に入り、掘り進めていた井戸の1つから最初の岩塩の塊が偶然発見され、これにより採掘によって塩を得ることが可能になったのです。地下へと続く最初の坑道は、13世紀の後半から開削が始められています。12世紀末にポーランド王カジミエシュ2世がこの地に城塞を築き、14世紀に「大王」と呼ばれたカジミエシュ3世がヴィエリチカの採掘権を独占しました。岩塩の収益は当時のポーランド王国の財源の3分の1にもなり、その一部はポーランド最初の大学であるクラクフ大学設置に役立てられたとされています。1368年には製塩所条例が発布され、以後数十年にわたる岩塩坑の安定した発展につながりました。しかしながら、中世の岩塩採掘はまだ季節労働で、採掘は農作業が行われない月だけ行われていたため、15世紀の終わりまで、岩塩坑には4つの採掘坑道と1つの地下層しかありませんでした。その一方で、ヴィエリチカは観光地としても有名になっていました。記録に残る当時の観光客の一人は、ニコラウス・コペルニクスです。彼は1493年に岩塩坑を訪れており、この出来事を記念して、その名前が付けられた部屋には彼の塩の像が設置されています。
Bochnia Salt Mine / Kopalnia Soli Bochnia
「ボフニャ岩塩坑」は、ポーランドの旧都クラクフの東約30kmに位置し、その始まりは「ヴィエリチカ岩塩坑」よりも古く、地中の岩塩層が発見された1248年にまで遡ることができます。ポーランドで最も古い岩塩坑で、国王が所有し、王室に多大な収入をもたらす重要な役割を果たしていました。ボフニャで最も古い採掘坑は、ストリス竪坑とガザリス竪坑です。街の中心部に位置するストリス竪坑は最初の採掘地点のひとつで、その名称はラテン語で「靴職人」を意味する単語に由来するとされています。
Cracow Saltworks Museum in Wieliczka / Muzeum Żup Krakowskich Wieliczka
「ヴィエリチカ製塩所博物館」は1951年に、ポーランドの製塩業の歴史を守り、広く伝えることを目的として設立されました。坑夫たちの労働の歴史やヴィエリチカ岩塩坑を守っていこうという運動は、芸術家でありヴィエリチカの中学校教師でもあったアルフォンス・ドゥウゴシュによって始まりました。長年にわたり収集されたコレクションは、深さ135m、地下3層にある坑道内に地下博物館として展示されています。1966年にポーランド建国1,000年の記念事業の一環として、面積7,481㎡を持つヨーロッパ最大の地下博物館として一般公開されたのです。

遺産DATA

分類 : 文化遺産
登録年 : 1978年
範囲変更年 : 2008年
範囲拡大年 : 2008,2013年
危機遺産 : 1989年~1998年
登録基準 : (iv)
遺産の面積 : 11.04947㎢
バッファ・ゾーン : 5.80601㎢
座標 :N49 58 45 E20 3 50

アクセス

ヴィエリチカ岩塩坑はクラクフ中央駅から電車で約20分。駅から岩塩坑までは徒歩約5分。

執筆協力者PROFILE

NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター

福島県出身。世界遺産や絶景、離島などを求め、国内に留まらず70カ国以上を旅するほどの旅好き。普段は上場企業の会社員として働きながらトラベルライターや小笠原諸島のアンバサダーなど、世界遺産や旅を軸に多岐にわたり活動を行っている。