イスファハーンのイマーム広場
かつて「世界の半分」と言わしめたイスファハーンの栄光を伝える建造物群

遺産DATA

地域 : 西・南アジア 保有国 : イラン・イスラム共和国 所在地 : Esfahan 分類 : 文化遺産 登録年 : 1979年 登録基準 : (i) (v) (vi) 座標 : N32 39 26.82 E51 40 40

about

南北512m 東西159mの広大な長方形の広場

1598年、サファヴィー朝の第5代王アッバース1世(在位:1588~1629年)は首都をイスファハーンに定め、壮大な都市建設に着手しました。旧市街に隣接して新市街を建設し、その新旧をつなぐ地に築かれたのがイマーム広場です。南北510m、東西160m、面積約9万㎡の広大な長方形の広場は、上下2層構造の回廊アーケードで囲まれており、1階部分には現在も店舗などが入っています。また、アーケードの4辺にはそれぞれ重要な建造物が配置され、東にシェイフ・ロトフォッラー・モスク、西にアリー・カプー宮殿、南にイマーム・モスク、北にはバザールの入口となるカイセリーヤ門があります。現在では芝生や池が配され公園のようになっていますが、元は一面砂地の平らなグラウンドで、各種の儀式やペルシア発祥のポロ競技、さらには公開処刑などが行われていました。かつては「シャー広場」と呼ばれていましたが、1979年のイラン革命以後は「王(シャー)」という名称をやめ、イスラムの宗教指導者を意味する「イマーム」という名を冠して「イマーム広場」と呼ぶようになりました。ペルシア語では「世界の写絵」を意味するナクシェ・ジャハーン広場とも呼ばれています。

広場を見下ろすテラスのあるアリー・カプー宮殿

広場の西辺にあるのが王宮です。アッバース朝の英雄、アリーにちなんで名付けられたこの宮殿は、元は15世紀のティムール朝時代の宮殿で、アッバース1世が改築し、17世紀前半に現在の2層6階建で高さ38mの形となりました。当時としてはイラン初の高層建築でした。内部装飾は歴代の王の趣味が反映され、美しいペルシアの細密画(ミニアチュール)で飾られています。広場に面したテラスからは広場が見渡せ、王が競技の様子を観戦したといわれています。

イラン芸術の最高美といわれるモスク群

広場の南辺に位置するイマームのモスクは、イーワーン状(3辺が壁で1方に尖頭形の開口部を持つ形)の門をもち、その奥には4つのイーワーンで囲まれた四角い中庭があります。このモスクはメッカの方角へ合わせるため広場とは45度斜めに配置されています。高さ47mの巨大な青いドームが特徴でイラン・イスラム建築を代表する建物です。また、広場の東辺には王族専用の「シェイフ・ロトフォッラー・モスク」があり、規模こそ小さいものの、その壁面やドームに施されたアラベスク模様の美しさからイラン芸術の白眉といわれています。

 

アクセス

日本からイランへの直行便はなし。ドバイやイスタンブールで乗り継ぎ。 首都テヘランからイスファハーンまでは長距離バスで約5時間。

執筆協力者PROFILE

大東文化大学・フェリス女学院大学講師/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

早稲田大学卒業。損害保険会社勤務の傍ら世界遺産を勉強し、退職後いくつかの大学にて関連講座を担当。現在は大学講師と趣味の音楽(クラシック歌手)の二刀流。

Properties

Masjed-e Emam (Emam Mosque/Shah Mosque)
サファヴィー朝第5代の王アッバース1世が整備した都・イスファハーンの中心である「王の広場」の南辺に立つモスクです。建造は17世紀初頭で、イーワーン(アーチ型天井の窪み)型の門は高さ33m、4本あるミナレットは高さ42m、そして中央のドームは高さ53mという大きさです。その規模もさることながら、外壁やドームの青いタイルがとても印象的で、壁や天井の複雑で美しいアラベスク模様にも圧倒されます。それ故に「イスラム世界で最も美しいモスク」のひとつといわれています。ここはずっと「王のモスク(シャー・モスク)」と呼ばれてきましたが、1979年のイスラム革命で王政が倒されてからは、イスラムの宗教指導者を意味する「イマーム」という名を冠して「イマームのモスク」と改称されました。
Ali Qapu Palace
アリー・カプー宮殿は、イマーム広場の西辺にある宮殿です。もともとこの場所にはティムール朝時代の宮殿があり、それをサファヴィー朝の第5代王・アッバース1世が現在の6階建て高さ38mの建物に改築しました。外側のテラスからは広場が一望でき、王はここから式典や競技を観覧したといわれています。最上階には「陶磁器の間」と呼ばれる空間があります。天井から壁はムカルナス(鍾乳石に似せた装飾)があしらわれており、壁面は瓶や壺の形にくり抜かれています。かつてはそこに陶磁器が飾られていました。この壁面の穴は単なる装飾だけでなく、部屋の音響調整をもたらす効果があり、陶磁器の間は音楽堂として機能していました。内部装飾も素晴らしく、複雑な細工やモザイク画に加えて、イラン芸術の粋といわれる人や動物をモチーフとした細密画(ミニアチュール)で飾られており、一見の価値ありと言えます。
Sheikh Lotfollah Mosque
広場の東側、アリー・カプー宮殿の対面にあるのがシェイフ・ロトフォッラー・モスクです。完成は1619年(1618年とも)で、広場を囲む他の建物より一足早く建てられました。シェイフ・ロトフォッラーとは、アッバース1世の妃の父である、レバノン出身の説教師(シェイフ)の名に因みます。モスクの規模は小さく、一般的なモスクと異なり、中庭もミナレットもありません。しかし、その精緻な内部装飾により「イランで最も美しいモスク」や「イラン芸術の白眉」と称されています。
Qaysariyyeh Gate
イマーム広場の北辺にある門で、17世紀に建てられたサファヴィー朝時代の歴史的なモニュメントです。かつては3階建てでしたが現在は2階建てとなっており、壁面には美しい壁画が施されています。この門からイスファハーンの経済の中心である大バザールへつながっており、この門によって王の広場と民衆の世界が結ばれていました。大バザールはこの門から約2㎞にわたって延び、もうひとつの世界遺産『イスファハーンのマスジェデ・ジャーメ(金曜モスク)』まで続いています。

遺産DATA

所在地 : Esfahan
分類 : 文化遺産
登録年 : 1979年
登録基準 : (i) (v) (vi)
座標 :N32 39 26.82 E51 40 40

アクセス

日本からイランへの直行便はなし。ドバイやイスタンブールで乗り継ぎ。 首都テヘランからイスファハーンまでは長距離バスで約5時間。

執筆協力者PROFILE

大東文化大学・フェリス女学院大学講師/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

早稲田大学卒業。損害保険会社勤務の傍ら世界遺産を勉強し、退職後いくつかの大学にて関連講座を担当。現在は大学講師と趣味の音楽(クラシック歌手)の二刀流。