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タキシラの都市遺跡
Taxila
パキスタンの首都イスラマバード近郊のタキシラは、中石器時代の洞窟や4つの異なる時代の都市遺跡、仏教寺院やイスラム教のモスクなどを含む多種多様な遺跡が残されています。シルク・ロードの支流ながら重要な位置にあったタキシラは1世紀から5世紀頃に最盛期を迎えたとされています。特にサライカラ、ビール、シルカップ、シルスークの4つの居住地遺跡はインド亜大陸における都市の発展を示す重要な遺跡です。最も古いサライカラは先史時代の最古の集落跡で、新石器時代、青銅器時代、鉄器時代の居住の痕跡が残されています。次の時代にあたるビール(ビール・マウンド)は、紀元前6世紀にアケメネス朝が築いたとされるタキシラの「都市」としては最古のもので、石壁や家屋の基礎、街路などに都市化の遺構が残されており、紀元前326年にアレクサンダー大王が凱旋入場した地としても知られています。さらに時代が下ったシルカップは紀元前180年頃にギリシャ人によって築かれた都市で、碁盤目状の都市に配置された家屋や仏塔、寺院などにはヘレニズム時代のヨーロッパ建築の影響が強く見られます。シルカップはその後クシャーナ朝によって破壊されましたが、そのクシャーナ朝が残した都市が4つめのシルスークです。ここでは発掘調査によって不規則な長方形の切石積みの城壁と丸みを帯びた堡塁が見つかっています。これらには中央アジアの建築様式の影響が見られ、インド亜大陸と中央アジアとの関連を物語っています。
タッタとマクリの歴史的建造物群
Historical Monuments at Makli, Thatta
タフティ・バヒーの仏教遺跡とサリ・バロールの歴史的都市
Buddhist Ruins of Takht-i-Bahi and Neighbouring City Remains at Sahr-i-Bahlol
タフティ・バヒーの仏教遺跡とサリ・バロールの歴史的都市は、パキスタンのガンダーラ地方で最も印象的な仏教遺跡のひとつで、同じ時代に属する2つの全く異なる要素で構成されています。タフティ・バヒーの仏教遺跡は1世紀初頭に建設された僧院群で、標高約36~152mの丘陵地帯に位置しています。7世紀頃まで使用されたタフティ・バヒーは、複数の仏塔を中心とした僧院や中庭、屋根付きの階段状の通路などで構成され、石材を石灰とモルタルで固めるというガンダーラ様式の技法が見られます。一方のサリ・バロールの歴史的都市は、タフティ・バヒーから5㎞ほど離れた地の細長い丘陵の上に築かれた古代の要塞都市の遺跡で、往時はガンダーラ様式の城壁に囲まれていたと考えられています。しかしながらサリ・バロールの遺跡は集落・住宅地の拡大によってその遺産の境界の管理が不十分で都市拡大による危機にさらされています。
モヘンジョ・ダーロの遺跡群
Archaeological Ruins at Moenjodaro
ラホール城とシャーラマール庭園
Fort and Shalamar Gardens in Lahore
ラホールはパキスタン北東部、インドの国境付近にある都市で、ムガル帝国第3代皇帝のアクバル(在位:1542~1605)はこの地に都を置き、11世紀以前から伝わる城砦を再建する形で現在のラホール城を築きました。彼は焼成レンガと赤砂岩を特徴的に用いて、謁見の間であった「ハーネ・ハース・オ・アーム」などの象徴的な施設を建造しました。次代のジャハーンギール(在位:1605~1627)は、アクバルが着工した広大な北側の中庭を完成させると主に、砦の北壁や北西壁に装飾を施しました。さらに次代のシャー・ジャハーン(在位:1627~58)は、白大理石をふんだんに用いた「真珠のモスク」や謁見の間「ディーワーネ・アーム」、世界で最も美しい宮殿の一つとも言われる「シーシュ・マハル」などの豪奢な建造物を築いています。これらの建造物はムガル帝国の建築様式の優れた見本を構成しています。
ロータス城塞
Rohtas Fort
ロータス城塞は、スール朝の創始者シェール・シャーが1541年に現在のパキスタン北部の戦略拠点、ロータスに築いた強固な要塞群です。初期イスラム軍事建築の優れた例として知られ、城塞の主要な部分は良好な状態のまま残されています。0.7㎢の規模を誇る要塞の主要部分は、周囲4㎞を超える巨大な石積みの城壁で構成され、68の稜堡と12の門を備えています。城壁は最大12m以上もの厚さを持ち、高いところでは18mにも達する規模で、丘の頂上の地形に沿って建造されています。堅固な城壁の内部にはバオリ(階段井戸)による給水設備を備えていたため、水を確保することもできました。ほかにもカブーリ門の近くのシャーヒー・マスジド(王のモスク)と呼ばれるモスクや、ムガル帝国時代後期には宮殿風の邸宅(ハヴェリ)も建設されています。ロータス城塞は、火薬や大砲の導入によって発展したトルコの軍事建築を基本としつつ、インド亜大陸の様式も取り入れる形で発展した要塞建築の代表例となっています。