スーパーは楽しい!/パリまで世界遺産委員会に来ています【第8回】
この連載は、2025年7月にパリで開催された世界遺産委員会の旅行記です。

目次

様変わりするスーパー事情
すべて種類が豊富な食品たち
食べてみないとわからない

様変わりするスーパー事情

Googleのストリートビューで場所を事前に確認していた近くの大型スーパーまで、滞在中に必要なものなどを買いに行く。昔からよく使っていた全国展開のスーパーで、服から食器や日用品、食品までいろいろ売っているのでこういう時に便利。

フランスのスーパーマーケット業界では、ウ・ルクレールやカルフール、カジノなどの数社の大手グループが市場の8割以上を占めているのだけど、ここのところ大型スーパーの再編が進んでいて、僕が留学していた大学のすぐ近くにあったカジノ傘下のブランドは売却されて今はなくなっていたり、大手が都市にある小型の店舗をフランチャイズ化してコンビニのような形態の店舗が増えていたり、様変わりしている。

それでも、街中には相変わらず個人の小さな何でも屋のようなお店があったり、精肉店や総菜屋などの小さな専門店があったりする。それはフランス政府が国内の食品関連の小売業を外国資本などから守る政策を採っていることも関係していると思う。

すべて種類が豊富な食品たち

見たこともないチーズがいっぱい

フランスはヨーグルトやチーズ、ハムなどの種類が豊富なのだけど、この店舗は通路の両側に置かれた壁一面の冷蔵庫に、両側ともすべてヨーグルトと乳製品が並べられているくらい品ぞろえがよくて、ヨーグルト好きにはたまらない。考えてみると、ヨーグルトといえばブルガリアのイメージだから、今回の世界遺産委員会がソフィアで開催だったらもっとヨーグルト三昧ができたのかもしれない。残念。

チーズもまた、それだけでたっぷりコーナーがあって、聞いたことがないような名前のものや、アニメの「トムとジェリー」でジェリーが食べていそうな見た目のチーズ、チーズに思えない形状のものなどが置かれていて、見ているだけでも楽しくなる。チーズは量り売りもしていて、チーズ専用のスタッフも常駐している。なぜかヌガーもこのコーナーで売られていて、これがかなり美味しかった。

また野菜やフルーツも棚に適当に山積みされているのだけど、どれも色も形もしっかりしていて美味しそうに見える。これまたどれも種類が豊富で、じゃがいもだけでも「揚げると美味しいもの」「茹でると美味しいもの」「煮込むと美味しいもの」とイラスト付きで分けて売られていたりする。日本の多くのスーパーだと、じゃがいもは「じゃがいも」というひとつの存在でしかないように見えるので、かなり違う。

赤血球みたいな形をした、つぶされたようなシルエットの桃「ペッシュ・プラット」の季節らしくてたくさん売っている。直訳すると「平たい桃」で、調べてみると日本では「蟠桃」というらしい。トマトなんて真っ赤な大きな実が5~6個も茎についたまま売っているし、根菜なんて土がついたままのものもある。日本のようにきれいに包装されていたりするものは少ない。

野菜もフルーツも、大きさもバラバラだし、実の付き方もまちまちだったりするので、客はよく選んで必要な分だけを袋に入れる。よく見ないと傷みかけのもあったりするので要注意だ。規格を厳しくして形や色が悪いものは流通させない、というようなことはあまりしていないのだと思う。

食べてみないとわからない

秤に載らないくらい大きかった白ブドウ

フランスのスーパーでは、生鮮食品などは値段がキロ単位で書かれているので、客は自分が選んだ商品を秤に載せて金額を調べ、機械から出てきたシールを貼ってレジに持って行く。肉などの場合は、客がガラスケース越しに選んだものをいかにも職人といった風情の白エプロンのスタッフが切り分けてくれる。肉コーナーのスタッフはがっしりとした男性のことが多い。

美味しそうだと思って手にした白ブドウは、片手で持ち上げにくいほど大きくて、秤に載せたらひと房で1kg以上もあったのに、800円くらい。これはイタリア産の輸入品。柑橘類とは結婚を前提にお付き合いしてもよいとさえ思っているので、オレンジは最初から1kgでネットに入ったものにしたけど、700円くらい。これはフランス産。フランスでも国産がウリになるのか、いろいろな野菜やフルーツで「これはフランス産」というのが強調されている。

フランスでは、スーパーの販売員が肉を焼いたりして試食させてくれるような試食コーナーはなく、チーズとか見ていると切って食べさせてくれるし、ハムとかも薄く切って食べさせてくれたりする。オレンジだって見ていたら、目の前で半分に切ってそのまま半分を手渡して食べさせてくれた。ブドウのようなフルーツは、客が勝手に房からひと粒もぎって食べる。「食べてみないと美味しいかどうかわからないじゃない」というのが彼らの言い分だけど、フランスに初めて行ったときは「えっ、あの人、売り物食べたけど!?」と驚いた。量り売りだから、つまみ食いされたものでも買う方としてはあまり関係がないのはわかるけど。それもフランス生活に慣れてくると、人がやっている分には気にならなくなる。自分でつまみ食いするのはまだ少し抵抗があってできない。

他にレタスやトマト、ハム、オレンジジュースや水、ヨーグルト、そして無駄にサイズの大きなシャンプーなどを買って、5,000円もいかなかった。オレンジジュースも果汁100%のものや果肉入りのものなど、本当にたくさんの種類があって美味しいので外せない。オレンジジュースやヨーグルトなどの加工品は少し高いけれど、野菜やフルーツは安いのが本当に助かる。日焼け止めは高かったので買うのをやめた。

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(次回に続く)

写真・イラスト©宮澤光

執筆者PROFILE

NPO法人世界遺産アカデミー主任研究員

北海道大学大学院博士後期課程を満期単位取得退学。仏グルノーブル第Ⅱ大学留学。2008年より現職。世界遺産に関するさまざまな書籍の編集・執筆・監修を手掛けるほか、「チコちゃんに叱られる!」(NHK)などの多くのメディア出演や、全国各地で100本を超す講演・講座を実施している。著書に『13歳からの世界遺産』(マイナビ出版)、『世界遺産のひみつ』(イースト・プレス)など。
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